コーヒーを淹れることを「抽出」と呼びます。
ドリッパーに粉を入れて、お湯を注ぐ。
見慣れた作業ですが、そのとき粉の中では何が起きているのでしょうか。
大まかにいうと、
コーヒーの粉に含まれている成分の一部を、お湯の中へ取り出しています。
焙煎したコーヒー豆には、さまざまな成分が含まれています。
豆を挽き、お湯と接触させると、その一部がお湯に溶け出していきます。
その液体が、私たちが飲んでいるコーヒーです。
ただし、粉の中にあるものが、すべて同じように取り出されるわけではありません。
成分によって水への溶けやすさなどが違うため、抽出中の変化も一様ではありません。
また、粉の外側だけでなく、粉の内部にある成分がお湯へ移るためには、粉の大きさや時間なども関係します。
そのため、
挽き目。
お湯の温度。
粉とお湯の量。
接触している時間。
お湯の注ぎ方。
使う器具。
こうした条件によって、出来上がるコーヒーは変わります。
ここで、似ているようで違う二つのことがあります。
「どのくらい抽出したか」と「出来上がったコーヒーがどのくらい濃いか」です。
たとえば、同じように成分を取り出したとしても、使うお湯の量が違えば、出来上がった液体の濃さは変わります。
反対に、濃く感じるコーヒーだからといって、必ずしも豆から多くの成分を取り出しているとは限りません。
コーヒーの抽出では、この二つを分けて考えることがあります。
液体の中にコーヒー由来の成分がどのくらい含まれているかを見るのが「濃度」。
使ったコーヒー粉から、どのくらいの成分を取り出したかを見るのが「抽出率」です。
専用の測定器を使えば、こうした数字を使って抽出を比較することもできます。
ただし、数字が高ければ高いほど、おいしいというものではありません。
数字は、
「前回と今回は何が違ったのか」
を考えるための手がかりになります。
そして、抽出で最終的に考えたいのは、
どんなコーヒーにしたいのか
ということです。
もう少し濃くしたいのか。
味の出方を変えたいのか。
香りの感じ方を変えたいのか。
目的があれば、どの条件を変えて試すのかを考えることができます。
一つ変える。
淹れてみる。
飲んで比べる。
どう変わったかを見る。
そして、また調整する。
抽出も焙煎と同じように、
決められたレシピを再現するだけではなく、条件と結果の関係を見ながら調整していくことができます。