コーヒーは、何時まで飲んでいい?

「夕方以降はコーヒーを飲まない方がいい」

カフェインと睡眠について調べると、よく出てくる話です。

では、「夕方」とは何時でしょう。

16時?

18時?

それとも、寝る6時間前?

毎晩22時に寝る人と、午前1時に寝る人では同じでしょうか。

前の記事で見たように、カフェインは飲んだらすぐ消えるものではありません。

そこで今回は、「何時まで」という時刻そのものではなく、

飲んでから眠るまでに、どのくらい時間があるのか

という方向から考えてみます。

飲んだカフェインは、夜まで残ることがある

コーヒーを飲むと、カフェインは体内に吸収されます。

その後、主に肝臓で代謝され、少しずつ減っていきます。

この減り方を考えるときに使われるのが「半減期」です。

半減期が仮に5時間なら、体内にあるカフェインが5時間後におよそ半分になる、という意味です。

100mg摂取したとすれば、

5時間後に約50mg。

さらに5時間後に約25mg。

というイメージです。

もちろん実際の体内動態はこんなにきれいな算数だけでは表せません。

それでも重要なのは、

数時間たったからゼロになるわけではない

ということです。

「6時間前なら大丈夫」という意味でもない

カフェインと睡眠を扱った研究では、就寝の数時間前に摂取したカフェインでも睡眠に影響がみられることがあります。

そこから、

「寝る○時間前まで」

という目安が紹介されることがあります。

目安としては便利です。

ただし、その数字を全員に共通する境界線だと考えると少し違います。

前の記事で見たように、カフェインの代謝速度には個人差があります。

同じ時刻に同じ量を飲んでも、就寝時に体内に残っている量は同じとは限りません。

さらに、睡眠への感じ方も違います。

だから、

「6時間前ならセーフ、5時間59分前ならアウト」

という境界が体に備わっているわけではありません。

時間は連続しています。人間はそこに線を引くのが好きですが、体は時計の数字ほど律儀ではありません。

何時に飲んだかだけでは足りない

たとえば、17時にコーヒーを飲んだとします。

この情報だけでは、睡眠への影響を考えるには足りません。

22時に寝るなら、就寝まで5時間。

午前1時なら8時間あります。

さらに、

そのコーヒーにカフェインが何mg含まれていたのか。

その日の朝や昼にもカフェインを摂っていたのか。

普段からどのくらい摂取しているのか。

その人の代謝や感受性はどうなのか。

こうした条件も関係します。

つまり、「17時」という時刻そのものに特別な意味があるわけではありません。

摂取した時刻と就寝時刻との関係を見る必要があります。

朝に飲んだ分は、もう関係ない?

朝7時に飲んだコーヒーなら、夜にはずいぶん時間がたっています。

だから夕方の一杯ほど睡眠への影響を考える必要はないでしょう。

ただし、「完全にゼロになった」とまでは限りません。

半減期が長い人なら、朝に摂取したカフェインの一部が夜まで残る可能性があります。

さらに昼にも飲み、夕方にも飲めば、それぞれ別の時刻に摂ったカフェインが体内に存在することになります。

ここで重要になるのが、

一杯だけではなく、一日の摂取量を見る

という考え方です。

一日3杯なら、3杯目だけの問題ではない

朝に一杯。

昼食後に一杯。

夕方に一杯。

この場合、夕方の一杯を飲んだ時点で、朝と昼のカフェインが完全になくなっているとは限りません。

そこへ新しいカフェインが加わります。

そのため睡眠との関係を考えるなら、

「最後のコーヒーを何時に飲んだか」

だけでなく、

一日を通して、いつ、どのくらい摂ったのか

も見た方が実際に近くなります。

これはコーヒーだけではありません。

お茶。

エナジードリンク。

コーラ。

チョコレート。

一部の医薬品。

などからカフェインを摂ることもあります。

「今日はコーヒーを一杯しか飲んでいない」ことと、「今日はカフェインを一杯分しか摂っていない」ことは同じではありません。

睡眠への影響は「眠れるか」だけではない

「夜にコーヒーを飲んでも眠れるから大丈夫」

という人もいます。

ここでも、「眠れる」という言葉を少し分けて考えてみます。

睡眠には、

眠りにつくまでの時間。

睡眠時間。

途中で目が覚めること。

睡眠の深さや構造。

起きたときの感覚。

など、いくつもの側面があります。

そのため、

「ベッドに入って眠れた」

だけで、カフェインの影響がまったくなかったと判断することはできません。

反対に、眠れなかった夜が一度あったからといって、原因を夕方のコーヒーだけに決めることもできません。

睡眠はカフェイン以外の多くの要因からも影響を受けます。

では、何時までならいい?

ここで最初の質問に戻ります。

「コーヒーは何時まで飲んでいい?」

残念ながら、全員に共通する一つの時刻を決めることはできません。

代わりに、

自分の就寝時刻から逆に考える

方が使いやすいでしょう。

まず、自分は普段何時ごろ眠るのか。

その何時間前までカフェインを摂っているのか。

一日にどのくらい摂っているのか。

そして実際に、

寝つきはどうだったか。

夜中に目が覚めなかったか。

翌朝どう感じたか。

を見ます。

つまり一般的な目安を出発点にはしても、最後は自分の状態も観察するわけです。

「私は平気」も固定しない

以前は夜にコーヒーを飲んでも平気だった。

だから、これからもずっと平気。

とも限りません。

生活時間が変わることがあります。

摂取量も変わります。

年齢や体調、服用している薬などが変われば、カフェインの影響の現れ方が変化することもあります。

反対に、

「昔コーヒーで眠れなかったから、午後は絶対飲めない」

と決めていても、そのときの摂取量やほかの条件が違っていた可能性もあります。

一度決めた自分のルールも、ときどき観察し直していいのです。

夜にもコーヒーを飲みたいなら

夕食後にもコーヒーを楽しみたい人はいます。

カフェインのためだけに、夜のコーヒーそのものを諦める必要はありません。

そこで選択肢になるのがデカフェです。

ただし、

「デカフェ=カフェインが完全にゼロ」

とは限りません。

カフェインを減らしたコーヒーと、もともとカフェインを含まない飲み物は同じではありません。

この違いは、後の記事で詳しく見ていきます。

「何時まで」より、「どんな条件で」

コーヒーを何時まで飲んでいいのか。

時刻を一つ決めれば簡単です。

でも実際には、

何時に飲んだのか。

何時に寝るのか。

どのくらいのカフェインを摂ったのか。

その日、それ以前にどのくらい摂っていたのか。

自分はどのように反応するのか。

によって変わります。

だから、

「夕方以降は禁止」

というルールだけを覚えるより、

摂取量と、摂取から就寝までの時間を見る。

その方が、自分の生活に合わせて考えることができます。

そして、ここでまた別の疑問が出てきます。

同じ時間に、同じ量のカフェインを摂っても、平気な人と強く影響を受ける人がいる。