コーヒーを長く続けている人を見ると、
「経験があるから分かるんだ」
と思うことがあります。
確かに、経験することで分かるようになることはあります。
何度もコーヒーを淹れていれば、いつもと違うことに気づきやすくなります。
焙煎を繰り返していれば、色や香り、温度の変化から、これから何が起こりそうなのかを考えられるようになります。
でも、同じことを何度も繰り返せば、それだけで分かるようになるのでしょうか。
たとえば、思ったようなコーヒーにならなかったとき。
「今日はうまくいかなかった」
だけで終われば、その経験から分かることはあまり増えません。
何をしたのか。
何が起きたのか。
前回と何が違ったのか。
それを見て、次はどうするかを考える。
そして、もう一度やってみる。
その結果がどうなったのかを、また見る。
こうして一つの経験と次の経験を比べていくと、
「こうすると、こうなることが多い」
という関係が少しずつ見えてきます。
ただし、それも絶対ではありません。
違う豆、違う器具、違う環境では、同じようにならないこともあります。
だから、経験から得たものも、ときどき確かめ直す必要があります。
経験することと、経験から学ぶことは、同じではありません。
経験したことを覚える。
比べる。
考える。
次に試す。
そして、必要なら自分の考えを変える。
経験が役に立つのは、その積み重ねがあるからなのかもしれません。