コーヒーの精製について調べると、「発酵」という言葉がよく出てきます。
ウォッシュドの工程でも使われますし、最近ではアナエロビックなど、発酵方法を特徴として紹介するコーヒーもあります。
では、コーヒーの発酵では何が起きているのでしょうか。
発酵には、酵母や細菌などの微生物が関わっています。
コーヒーチェリーの果肉やミューシレージには糖などが含まれていて、微生物がそれらを利用することで、さまざまな物質が生まれます。
この変化を利用するのが、コーヒー精製における発酵です。
たとえばウォッシュドでは、果肉を取り除いたあとに残るミューシレージを除去しやすくするために、発酵を利用する方法があります。
ただし、発酵は単に「ミューシレージを取るためだけ」のものでもありません。
発酵中に起こる変化は、最終的なコーヒーの香りや味にも影響することがあります。
そして、その結果に関係する条件は一つではありません。
発酵させる時間。
温度。
水を使うかどうか。
酸素に触れる状態。
使用する容器。
果実の状態。
こうした条件によって、発酵の進み方は変わります。
そのため、「何時間発酵させた」という数字だけでは、どのような発酵が起きたのかをすべて説明することはできません。
また、発酵は長く続ければ良いというものでもありません。
生産者は、どのような状態で発酵させ、どの段階で次の工程へ進めるのかを管理します。
最近では、密閉した容器などを利用して酸素との接触を抑えながら発酵させる方法も多く見られるようになりました。
「アナエロビック」と呼ばれる精製も、その一つです。
ただし、「アナエロビック」という名前だけで、すべて同じ工程を行っているわけではありません。
果実のまま発酵させるのか。
果肉を取り除いてから行うのか。
どんな容器を使うのか。
どのくらいの時間や温度で管理するのか。
実際の方法には違いがあります。
だから、発酵について見るときも、
「何という名前の精製か」だけでなく、「どんな状態で、どんな条件を使って発酵させたのか」
を見ることが大切です。
発酵は、コーヒーに特別な味を付けるための魔法ではありません。
コーヒーチェリーから生豆になるまでの間に起きる変化の一つであり、その変化をどのように管理するかが精製の一部になっています。