コーヒーの焙煎について調べると、「メイラード反応」という言葉がよく出てきます。
パンを焼いたときの焼き色や、肉を焼いたときの香ばしさなどにも関係する反応です。
コーヒーの焙煎でも、色や香り、味をつくる重要な反応の一つです。
メイラード反応は、大まかにいうと、糖とアミノ酸などが熱によって反応することで進みます。
その過程では非常に多くの物質が生まれ、さらに別の反応も重なっていきます。
コーヒー豆が褐色になっていくことや、焙煎によってさまざまな香りが生まれることにも関係しています。
では、焙煎中の何℃からメイラード反応が始まるのでしょうか。
ここは少し注意が必要です。
焙煎では、黄変から1ハゼまでを「メイラードフェーズ」と呼ぶことがあります。
しかし、
黄変した瞬間にメイラード反応が始まり、1ハゼで終わる、という意味ではありません。
前の記事で見た黄変と同じように、実際の豆の中ではさまざまな変化や反応が重なりながら進んでいます。
「メイラードフェーズ」という区分は、その連続した焙煎を観察したり比較したりするために使われているものです。
また、メイラード反応だけがコーヒーの味や香りを作っているわけでもありません。
焙煎中には、水分の移動や蒸発、糖の熱分解など、さまざまな変化が同時に進んでいます。
それらが重なって、最終的なコーヒーの色や香り、味につながります。
そのため、
「メイラード時間を長くすれば甘くなる」
「この時間にすれば香りが強くなる」
と、一つの時間だけで結果を決めることはできません。
そこまでに豆がどのように熱を受けてきたのか。
その間、温度がどのように変化していたのか。
生豆がどんな状態だったのか。
そして、そのあとどのように焙煎を進めたのか。
それらも関係しています。
メイラード反応を知ることは、焙煎の「正解の時間」を知ることではありません。
豆の色や香りが変化していく背景で、どんな反応が起きているのかを理解するための一つの手がかりです。
焙煎中に見える色、感じる香り、記録している温度や時間。
それらと豆の中で起きている反応を結びつけて考えることで、焙煎の見え方も少しずつ変わってきます。