コーヒーを焙煎していると、途中で豆から「パチッ」「パチパチ」という音が聞こえてきます。
これを「1ハゼ」と呼びます。
英語では First Crack と呼ばれます。
では、なぜコーヒー豆から音がするのでしょうか。
焙煎が進むと、豆の内部では水分が水蒸気になり、さまざまな反応によってガスも生まれます。
同時に、豆の内部の構造も変化していきます。
加熱が続くにつれて内部の圧力が高まり、豆は膨らんでいきます。
そして、豆の組織がその圧力に耐えられなくなると、構造が大きく変化します。
そのときに聞こえる音が1ハゼです。
ただし、焙煎機の中にあるすべての豆が、同時にハゼるわけではありません。
最初の一粒が鳴り、その後少しずつ音が増え、やがて多くの豆がハゼるようになります。
そして、しだいに音は減っていきます。
そのため「1ハゼが始まった時間」を記録するときにも、基準が必要です。
最初の一粒が鳴ったときを記録するのか。
ある程度連続して鳴り始めたところを記録するのか。
基準が違えば、同じ焙煎でも記録される時間は変わります。
大切なのは、どちらが正しいかを決めることよりも、比較するときに同じ基準で記録することです。
また、「1ハゼは何℃で起きる」と数字で表されることがあります。
しかし、以前の記事で見たように、焙煎機に表示されている豆温は、一粒の豆の内部温度を直接測ったものではありません。
センサーの位置や仕様、焙煎機、豆の量などが違えば、1ハゼが記録される表示温度も変わります。
そのため、
1ハゼの温度だけを別の焙煎機と比較しても、それだけでは同じ状態かどうかは分かりません。
1ハゼは、温度計とは別に豆自身が示してくれる変化の一つです。
音だけでなく、この頃には豆の色が濃くなり、大きさや形、香りも変化しています。
焙煎する側は、
温度。
時間。
RoR。
色。
香り。
音。
こうした情報を重ねながら、豆がどのように変化しているのかを見ていきます。
そして、1ハゼから先も焙煎は続きます。
ここから焙煎をどのくらい進めるのかによって、出来上がるコーヒーは大きく変わります。
1ハゼは、焙煎のゴールではありません。
焙煎の途中で、豆の状態が大きく変化したことを知るための重要な目印です。