コーヒー豆を挽くための道具が、コーヒーミルです。
ミルには、手動のものや電動のものがあります。
刃の形や大きさ、回転の仕方などにもさまざまな違いがあります。
では、同じコーヒー豆を「中挽き」にすれば、どのミルを使っても同じ粉になるのでしょうか。
実際には、そうとは限りません。
コーヒー豆を挽くと、すべての粒がまったく同じ大きさになるわけではありません。
大きな粒もあれば、小さな粒もあります。
とても細かな粉も含まれます。
こうした粒の大きさの広がりを「粒度分布」と呼びます。
ミルが違えば、この粒度分布も変わることがあります。
そのため、二つのミルを同じ「中挽き」に設定したとしても、実際に出来上がった粉の状態まで同じとは限りません。
これは抽出にも関係します。
小さな粒と大きな粒では、お湯と接触する表面積が違います。
小さな粒は相対的に表面積が大きく、大きな粒とは成分の取り出され方が異なります。
また、細かな粉が多くなると、ドリップではお湯の流れ方にも影響することがあります。
つまり、ミルを変えると、
粉の大きさだけではなく、粒の大きさの分布や、お湯の流れ方まで変わる可能性があります。
ミルの違いを説明するときには、「微粉」という言葉もよく使われます。
微粉とは、挽いたコーヒーの中に含まれる細かな粒のことです。
微粉が多いか少ないかは、抽出のされ方に影響します。
ただし、
微粉が少なければ少ないほど、必ずおいしくなるというわけではありません。
粒の大きさがそろっていることも、比較や調整をしやすくする一つの要素にはなります。
しかし、「均一であること」そのものがコーヒーの目的ではありません。
大切なのは、そのミルで作られた粉を使って、どのような抽出になり、どのようなコーヒーが出来上がったかです。
さらに、ミルを比較するときには、目盛りの数字にも注意が必要です。
あるミルの「5」と、別のミルの「5」が同じ挽き目を意味するわけではありません。
「中挽き」「細挽き」という呼び方についても同じです。
名前だけでなく、実際に挽かれた粉を見る必要があります。
そして、ミルを変えたら、それまで使っていたレシピがそのまま合うとは限りません。
挽き目を調整する。
抽出時間を見る。
お湯の流れ方を見る。
飲んでみる。
必要なら、また調整する。
そうしていくと、
「このミルは何番が正しいか」ではなく、「このミルで、どんな粉を作りたいのか」
という見方ができるようになります。
ミルは、豆を細かくするだけの道具ではありません。
抽出のために、コーヒー豆をどのような状態の粉にするかを決める道具です。