コーヒーを淹れるとき、豆や挽き目、湯温には気を使っていても、水についてはあまり考えないことがあります。
しかし、一杯のコーヒーの大部分は水です。
では、水が変わるとコーヒーの味も変わるのでしょうか。
変わることがあります。
水は、ただコーヒーの粉を通り抜けているわけではありません。
コーヒーの成分を取り出し、それをカップまで運ぶ役割をしています。
そして、私たちが普段使っている水は、純粋な水だけでできているわけではありません。
カルシウムやマグネシウムなど、さまざまな成分が含まれています。
その種類や量によって、コーヒーの成分の取り出され方や、出来上がった味の感じ方が変わることがあります。
水について調べると、「硬度」という言葉がよく出てきます。
硬度は、主に水に含まれるカルシウムやマグネシウムの量を表すための指標です。
一般に、これらが少ない水を軟水、多い水を硬水と呼びます。
ただし、
硬度という一つの数字だけで、水の性質がすべて分かるわけではありません。
同じような硬度でも、どのような成分が、どのくらい含まれているかは違うことがあります。
もう一つ、コーヒーの抽出を考えるときに出てくるのが「アルカリ度」です。
アルカリ度は、酸に対して水がどのくらい緩衝する性質を持っているかを見るための指標です。
コーヒーにはさまざまな酸が含まれているため、水のアルカリ度が違えば、出来上がったコーヒーの酸味の感じ方などにも影響します。
ここで注意したいのは、
硬水だから苦い、軟水だから酸っぱい
というように単純には分けられないことです。
水の性質は一つの数字だけではなく、含まれている成分の組み合わせによって決まります。
さらに、
使うコーヒー豆。
焙煎度。
挽き目。
湯温。
抽出時間。
粉とお湯の比率。
こうした条件も同時に関係しています。
そのため、あるコーヒーに合った水が、すべてのコーヒーにとって同じように合うとは限りません。
水の違いを確かめるなら、同じ豆を使い、ほかの条件をできるだけそろえて、水だけを変えて淹れてみる方法があります。
香りはどう違うか。
酸味や苦味はどう感じるか。
甘さや質感、後味はどう変わるか。
同じコーヒーでも、水を変えることで違いに気づくことがあります。
そこで初めて、
「この水では、このコーヒーがこう感じられた」
という情報になります。
水についても、
「硬度は○○が正解」
と一つの数字を覚えることが目的ではありません。
どんな水を使ったとき、抽出と出来上がったコーヒーがどう変わったのかを見ることが大切です。
水も、豆や挽き目、温度と同じように、コーヒーを作る条件の一つです。