カッピングって、何のためにするの?

コーヒーについて調べていると、「カッピング」という言葉を目にすることがあります。

テーブルにいくつものカップを並べ、スプーンですくってコーヒーを飲んでいる光景を見たことがある人もいるかもしれません。

専門家がコーヒーに点数をつけるための方法、という印象を持つこともあります。

しかし、カッピングの役割はそれだけではありません。

大きな目的の一つは、

複数のコーヒーを、できるだけ同じ条件で比べることです。

前の記事では、コーヒーを比べるときには条件をそろえることが大切だと説明しました。

抽出方法が違う。

粉とお湯の比率が違う。

湯温が違う。

飲む温度が違う。

こうした条件がいくつも違えば、カップに違いがあったとしても、その違いがコーヒーそのものによるものなのか、淹れ方によるものなのか分かりにくくなります。

カッピングでは、豆の量や挽き方、お湯の量、時間などの条件をそろえてコーヒーを準備します。

そして、同じような条件で香りや味を確認していきます。

そうすることで、

「このコーヒーと、あのコーヒーは何が違うのか」

を比較しやすくします。

カッピングには、いろいろな目的があります。

生産されたコーヒーの品質を確認する。

買い付けるコーヒーを比較する。

焙煎した結果を確認する。

同じコーヒーに前回との違いがないかを見る。

複数の人で同じコーヒーについて話す。

目的によって、見るところや判断の仕方も変わります。

品質を評価することが目的なら、決められた基準を使って評価することがあります。

点数をつける方法もあります。

しかし、カッピングをするたびに点数をつけなければならないわけではありません。

たとえば、焙煎を変えた二つのコーヒーを並べて、

「どこが変わったのか」

を確認するだけでも、カッピングをする意味があります。

ここで重要なのは、

評価と比較は同じではない

ということです。

評価では、何らかの基準に照らして判断します。

一方、比較では、まず二つの間にどんな違いがあるのかを見ます。

こちらの方が酸味を強く感じる。

こちらは香りの印象が違う。

こちらの方が口当たりが軽い。

冷めてくると違いが大きくなった。

こうした観察には、必ずしも「どちらが上か」という結論は必要ありません。

そして、カッピングでは温度が下がりながら何度もコーヒーを確認します。

熱いときには分からなかった特徴が、少し冷めると見えてくることがあるからです。

香り。

酸味。

甘味。

苦味。

口当たり。

余韻。

これまでの記事で一つずつ見てきたものを、実際のコーヒーの中で観察していきます。

複数の人でカッピングする場合には、自分が感じたものを言葉にして共有することもできます。

「私は柑橘のように感じた」

「私はもう少し熟した果物のように感じた」

同じコーヒーを飲んでも、表現が違うことがあります。

そのとき、どちらかをすぐに間違いとする必要はありません。

もう一度飲んでみる。

どこが似ているのか。

どこが違うのか。

そうやって確かめることも、カッピングの役割です。

カッピングは、特別な味覚を持った人だけが行うものではありません。

条件をそろえて、観察し、比べ、言葉にし、もう一度確かめる。

そのための方法です。

点数や専門用語は、その目的に応じて使う道具です。

まず必要なのは、

「違いがあるか」

と見てみることです。

そこから、

「何が違うのか」

「なぜ違ったのか」

と少しずつ考えていくことができます。